両国国技館の地下に眠る巨大焼き鳥工場!その全貌と購入の裏ワザ
両国 国技 館 地下――土俵の上で力士たちが火花を散らすその足元深くに、一般の観客は決して立ち入れない巨大な食の要塞が広がっている。館内に漂う甘辛く香ばしい醤油の匂いを辿っても、客席フロアにその発生源となる調理場は見当たらない。天井から響く満員御礼の地響きを受け止めながら、年間を通じて膨大な本数の串を焼き続ける秘密施設。熱気あふれる両国国技館の真下に隠された、知られざる心臓部だ。
大相撲の本場所が開催される15日間、マス席や売店で飛ぶように売れていく名物がある。土俵の興奮を支える舞台裏として、この両国 国技 館 地下には本格的な設備を備えた一大調理施設が設えられ、一日あたり最大数万本という圧巻のスケールで串打ちと焼き上げが繰り返されている。観戦客の胃袋を掴んで離さない名物グルメの正体と、閉ざされた扉の向こう側で行われている緻密なオペレーションの実態を追った。
両国国技館の地下に眠る巨大焼き鳥工場の全貌

相撲観戦の象徴として愛される「国技館やきとり」。その製造拠点がアリーナの直下に位置している事実は、ファンの間でも意外と知られていない。関係者専用の重い扉を抜けて階段を降りると、そこには外の喧騒を遮断した無機質なクリーンルームが広がっている。
敷地面積にして数百平方メートル。大型の電気グリラーや急速冷却機、自動パッキングラインが整然と並ぶその光景は、アリーナの付帯施設というよりも高度に規格化された近代プラントそのものだ。大相撲の東京場所中ともなれば、早朝から白衣に身を包んだスタッフたちが一斉に持ち場につき、整然とした手つきで鶏肉を捌き、串を焼き網へと送り込んでいく。
徹底した温度管理と衛生基準が敷かれたこの空間で、1日に生み出される焼き鳥は約5万本。年間では数百トンもの鶏肉がここで消費される。外気と遮断された地下空間だからこそ、天候や湿度に左右されず、常に均一な焼き加減を維持できるという利点があるのだ。
なぜ大相撲で焼き鳥なのか?土俵と「手をつかない鳥」の縁起

そもそも、なぜ相撲場でこれほどまでに鶏肉が重宝されるのか。その背景には、勝負の世界ならではの深いゲン担ぎと伝統的な食文化が根ざしている。
相撲において、土俵に手をつくことは「負け」を意味する。二本足で直立して歩く鳥は、前足を地面につかないことから、古くから力士たちにとって「決して手をつかない=土がつかない(負けない)」縁起の良い生き物として尊ばれてきた。ちゃんこ鍋の出汁や具材に鶏肉が多用されるのも全く同じ理由によるものだ。
公益財団法人日本相撲協会が主導する興行の歴史の中で、この縁起物は観客向けの弁当や土産物へと昇華していった。昭和の時代から受け継がれてきたこの食の慣習は、単なる軽食の枠を超え、大相撲という競技の精神性を舌で味わうための特別なアイコンとなっている。
冷めても旨い秘伝ダレの魔力!食品製造業としての徹底した品質管理

国技館の焼き鳥を口にした誰もが驚くのは、「冷めているのに異様なほど柔らかく、旨味が凝縮している」という点だろう。焼きたてのアツアツを提供する一般的な居酒屋とは異なり、持ち帰りやマス席での長時間観戦を前提とした独自の設計が施されている。
この味を統括しているのが、相撲協会のグループ会社である国技館サービス株式会社だ。同社は単なる興行売店の運営にとどまらず、独立した食品製造業としての高度なノウハウを蓄積してきた。冷えても肉質が硬くならないよう、鶏肉の部位選定から筋の処理、焼き上げの火入れ時間に至るまで秒単位で計算されている。
さらに味の決め手となるのが、創業以来守り抜かれてきた門外不出のタレだ。醤油と砂糖、みりんを独自の配合で煮詰めた濃厚なタレは、肉の表面にしっかり絡みつき、冷める過程でじっくりと繊維の奥まで染み込んでいく。焼き上がった串は専用の冷却装置で一気に熱を取り、旨味を閉じ込めた状態で箱詰めされる。まさに職人技と近代テクノロジーの融合が生み出した傑作といえる。
Netflix『サンクチュアリ』旋風とNHK中継の裏で進む八角理事長の改革
大相撲を取り巻く環境はここ数年で激変した。Netflixオリジナルシリーズ『サンクチュアリ -聖域-』が世界的なヒットを記録したことで、国内外の若年層やインバウンド観光客が両国へ大挙して押し寄せている。連日放送されるNHKの大相撲中継でも、色鮮やかなマス席の様子が全世界へと配信され、相撲文化への注目度は過去最高レベルに達した。
こうした潮流の中、公益財団法人日本相撲協会のトップを務める八角信芳(第61代横綱・北勝海)理事長は、伝統を守りつつも時代に即した組織改革とファンサービスの現代化を強力に推し進めてきた。地下施設の衛生基準アップデートや生産ラインの効率化もその一環だ。
相撲界がグローバルなスポーツ・エンターテインメントとしての地位を固めるにつれ、名物グルメの需要も爆発的に増加した。地下工場では増産体制を整えつつも、手作業による丁寧な検品工程を崩さない。伝統の味を世界基準のクオリティで届けるという強い矜持が、八角体制下の現場には浸透している。
墨田区の聖地からJR東京駅まで!「国技館やきとり」を確実に入手する裏ワザ
「相撲のチケットを持っていないと買えないのでは?」と思われがちだが、実は本場所の観戦チケットがなくてもこの味を手に入れるルートは存在する。ただし、入荷直後に即完売することも珍しくないため、確実に入手するためのコツを押さえておく必要がある。
最も手堅いのは、大相撲の東京場所(初場所・夏場所・秋場所)開催期間中に、墨田区にある両国国技館の屋外特設売店を狙うルートだ。開門前の午前中から数量限定で一般向けに販売されることがある。地元住民や相撲ファンが列を作るため、販売開始時刻の少し前に現地へ到着しておくのが鉄則だ。
もう一つの狙い目は、JR東京駅構内の駅弁屋や主要ターミナル駅の特設コーナーである。地下工場から直送された出来立ての焼き鳥が、昼前と夕方のタイミングで店頭に並ぶ。新幹線の車内で楽しむビジネス客や観光客に人気が高く、配送トラックが到着する夕方16時前後の時間帯を狙うと、売り切れ前に確保できる確率が飛躍的に高まる。
熱狂を支える黒衣の矜持!進化を続けるスポーツ・エンターテインメントの未来
両国の地で育まれた焼き鳥は、もはや単なるスタジアムグルメの域を完全に超えている。それは土俵の真下で黙々と串を焼き続ける職人たちの職人魂と、何百年と続いてきた大相撲の様式美が交差するカルチャーそのものだ。
観客がマス席で串にかぶりつき、歓声を上げ、力士が塩を撒く。その一連の体験すべてが計算されたスポーツ・エンターテインメントの完成形といえる。地下の調理場という「見えない場所」で妥協なき品質管理を続ける人々の存在があってこそ、地上の華やかな土俵が成立する。
東京の下町・墨田区の地下深くで脈打つ巨大工場の熱気は、これからも大相撲の伝統とともに、訪れる人々に唯一無二の感動と味わいを提供し続けるに違いない。 (出典: 両国 国技 館 地下(Yahoo!ニュース))